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龍虎チーム 餓狼MOWチーム サイコソルジャーチーム アーデルハイド&ローズ
紫苑 禍忌

アーデルハイド&ローズストーリー

 約一年に及ぶ遊覧飛行の後、巨大飛行船スカイノアは産まれ落ちたドックに再びその身を横たえた。手渡されるさまざまな書類に素早く目を通し、サインを記入する白皙の若者の瞳は赤い。
「では、アーデルハイド様。整備終了後、引き渡しは半月後ということで」
 工場長の愛想もそこそこに受け流し、彼はドックの外へと足を運んだ。
 秋のワルシャワの石畳は雨に濡れていたが、空を覆っていた厚い雲は流れ去りつつある。近くの店にでも駆け込もうかと走りかけたところで、アーデルハイドは背後にたたずむ何者かの気配に気づいた。上から下まできっちりとした軍服に身を包んだ男がひとり、立っている。

「路面電車の乗り方は覚えたかね?」
「……ええ、おかげさまで」


 ※ ※


 ポーランドの冬の訪れは早い。
 今、この短い季節は「黄金の秋」とも呼ばれる最も豊かな実りの季節ではあるが、既に大陸の厳しい寒さの片鱗を感じられる季節でもある。

 二人は連れ立って街を歩いた。
 中世から続く歴史と伝統の街並みに見えるが、その実、第二次大戦で市街のほとんどを失った新しい街。だが、踏みしめる石畳は数百年の時を超えてそこにあり続けていたのかも知れない。

「あれから一年ですか? ……偶然、ですね」
「そうだな」
 ハイデルンは軍人らしい正確な歩みをいささかも乱すことなく答えた。
 肯定したのは期間のことなのか、それとも偶然についてなのだろうか。

「ここへはやはり、ビジネスで?」
 アーデルハイドの視線が、物々しい第一種礼装に移る。軍人なのは誰にでもわかることだが、所属する国家を表す印章の類が何一つ付けられていない。
「葬式だよ。部下の……。いや、友人の」


 二人の間に横たわる静寂と緊張。親密さと気後れ。
 彼らの微妙な間柄を示すかのように、二人のちょうど中間点に小鳥が止まり、しばらくさえずった後、飛び立った。二人の踏みしめる石畳はアーチ状の橋へと続く。ヴィスワ川の支流のひとつにかかるその橋にたどり着いた時、アーチの下から子供の叫び声が聞こえてきた。


「だめだよ父さん! もう腕がしびれちゃったよ」
「諦めるな、持久戦だ。ほら、船を寄せるぞ。リールを巻け。船底にもぐり込まれたら、糸が切れる前に構わないから竿先ごと水に突っ込め。わかったか?」

 橋の下を小さなボートがゆっくりと過ぎて行く。
 ボートには親子連れが乗っていて、子供の竿に桁外れの大物がかかったらしい。
 おもちゃのようなその竿は大きくたわみ、鋼線のように張りつめた糸が、ちゃちなリールのブレーキを突破して繰り出されてゆく。糸だけは太目のものを使っていたのだろうか。未だに切れていないのが不思議なくらいである。
 ポーランド語でのやり取りは二人には理解できなかったが、助けを求める子供と、アドバイスはするが決して手を出そうとしない父親の姿がそこにあった。すぐに子供は泣き言をやめ、歯を食いしばって竿の操作に専念しはじめた。父親はボートを繰りつつ、短い、的確な指示を与えているらしい。

 ボートは次第に橋を離れて百ヤードほど下流に下った。
 小さなボートの上に、子供の背丈ほどもある銀色の大魚が父親の手で引き上げられるのが見えた。子供は竿を手にしたまま尻餅をついている。おそらく腕は震え、顔は上気して荒い息に喘いでいるのだろう。アーデルハイドは詰めていた息を、ようやくゆっくりと吐き出した。

「やれやれ。しかしあの父親、なぜ手を貸してやらなかったんでしょう」
「父親だから、だよ」

 ハイデルンの時計が鳴った。アーデルハイドはその表情を横目でちらりと盗み見るようにして、なるほど、と、教科書を読み下すような感覚で理解した。親が子に物事を伝えるとは、そういうことなのか。

「私には、あの子が羨ましいですね。私は父にああいったことをしてもらった記憶がないんです。よく考えたら釣り竿というものも手にしたことがない」
「なるほど」
「あなたは、釣りは?」
 すっかり日が傾いて、川面は鏡のように光を反射して輝いていた。
 さきほど親子が去っていった下流の空に、太陽を背にしてひとつの点が浮かび上がる。そこから、ヘリのローター音が小さく響いてきた。
「……するよ。よくする。大物釣りが趣味でね」
 ほんのわずかに震えた唇と声とは、見る間に近づいてきた軍用ヘリの爆音に掻き消された。ヘリはそのままハイデルンの直上で停止し、ホバリングで空中にとどまった。アーデルハイドは猛烈な風に顔を腕で覆う。
 轟音と烈風の中、下ろされた縄梯子にハイデルンは手をかけた。

「君をこの名で呼びたくはなかったよ……。アーデルハイド・バーンシュタイン」

 二人の心に、同時に鋭い痛みが走った。
 うすうす、いや、実のところ明確に予想していた結末。それを改めて突き付けられる苦しさに、アーデルハイドは続く言葉を紡ぐことができない。無言の若者の頭上に向けて、ハイデルンは言った。

「次に出会った時、私は君の……『敵』だ」


 ※ ※


 高度を上げ、夕日に向かって飛び立つヘリの中。
 ハイデルンはシートに腰を下ろし、目を閉じると、彼に似合わぬ深々としたため息をついた。

「……お前たちを呼んだ覚えはないぞ。パイロットは他の者に命じたはずだ」

 前部操縦席にラルフとクラークの姿があった。ラルフは使い古したオイルライターでタバコに火をつけ、クラークは操縦桿を握ったまま、サングラス越しにポーランドの夕日を眺めているように見える。
「私と大佐の任務はまだ先ですからね。ま、今はオフってことで。お気になさらず」
「レオナとウィップはいないようだな」
「これからオヤジ三人で冴えない飲み会ですからね。三十歳以下のお子様には、キャンディー持たせてとっととお引き取りいただきました」
「……すまんな。助かる」

 ハイデルンは消え入るような声で二人に感謝した。と、軍用機に似つかわしくない甘い香りが漂ってきた。瞼を開くと、そこに大ぶりの花弁を持つ白い花が一輪、シートベルトの金具に挿されている。

「ところで隊長、その花の『花言葉』っていうロマンチックな代物をご存じですか?」
「……知らんな」
「花言葉にお詳しい某大佐によると……、って、何するんですか大佐!」
「うるせえクラーク! ンな小っ恥ずかしいセリフを何度も言わせるんじゃねえ!」
「ちょ、ちょっと大佐! 操縦者の首を締めるのは……って、また墜落させる気ですか!」

 ヘリを場違いに飾っていたマグノリアが、機体の揺れと風に煽られて機外へと飛んだ。

(あの親子の乗る小舟に舞い落ちたのだろうか)

 ハイデルンは再び目を閉じると、目的地までしばしの眠りについた。

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